ニューサウスウェールズ州における賃貸のご案内
Introduction to your rights as a tenant in New South Wales, Australia – Japanese
テナントには権利があります!
ニューサウスウェールズ州における賃貸のご案内
オーストラリア・ニューサウスウェールズ(NSW)州で住宅を賃貸する際の、テナントの法的権利についての概要
本ファクトシートは、NSW州テナント組合 [Tenants’ Union NSW] のテナント支援専門家、ならびにテナントアドバイス&アドボカシーサービス [TAAS] のネットワークに所属するテナント支援専門家によって作成されました。翻訳はプロの翻訳者によって確認されています。詳しい情報や動画は tenants.org.au をご覧ください。
テナントの法的権利について助言が必要な場合は、お住まいの地域のテナントアドバイス&アドボカシーサービス [TAAS] にご連絡ください。各地域の [TAAS] の連絡先は tenants.org.au/get-advice で確認できます。[TAAS] は、テナントに無料で情報、助言、支援を提供する独立した非政府組織です。
通訳が必要な場合は、翻訳・通訳サービス [TIS](13 14 50)に電話して、お住まいの地域の [TAAS] へつないでもらうよう依頼してください。または、[TAAS] のオンライン連絡先を利用し、通訳付きで折り返し以来 連絡を依頼することも可能です。
NSW州政府機関であるNSWフェアトレーディング [NSW Fair Trading] からも賃貸に関する助言を受けることができます。nsw.gov.au/departments-and-agencies/fair-tradingを参照するか、13 32 20に電話してください。
家主や不動産管理業者とのやり取りについては、書面で記録を残すことをお勧めします。賃貸契約書 [lease]、入居時状態報告書 [condition report]、領収書、手紙、メール、物件の写真のコピーも保管しておきましょう。
不動産業者 [real estate agent] は家主から報酬を受けて物件を管理しています。業者は家主の代理人であることを理解しておきましょう。
NSW州で賃貸に適用される法律
NSW州には賃貸に関する法律があります。ほとんどの住宅賃貸は、2010年住宅賃貸法および2019年住宅賃貸規則の適用を受けます。ただし、一部の賃借人(ボーダーやロッジャーなど)は、住宅賃貸法の適用対象外です。詳細は以下をご覧ください。
住宅賃貸法が適用されるケース
- 書面または口頭の住宅賃貸契約(一般にリース [lease] と呼ばれます) を持つ民間賃借人
- ソーシャルハウジング [social housing] (公営住宅 [Homes NSW]、コミュニティ住宅、アボリジニ住宅局を含む)の入居者。ソーシャルハウジングの入居者には、上記法の下で、特定の権利および義務が定められています。
- ランドリース・コミュニティ [land lease community] で住宅を借りている人
住宅賃貸法が適用されないケース
- ボーダーおよびロッジャー [boarders and lodgers]
- 書面契約のないサブテナント(転借人)
- ランドリース・コミュニティ [land lease community] で土地を借りている住宅所有者
- 保護テナント [protected tenants] – 特別な区分に属するテナント
- 高齢者介護施設、レスパイトケア施設、介護付き看護施設、リタイアメントビレッジの居住契約、病院
- ホテル、モーテル、サービスアパートメント、バックパッカーズホステル
- 一時的宿泊施設(避難所 [refuge]、危機対応宿泊施設など)、長期ホリデーパーク契約、主な居住地ではない3ヶ月未満の短期賃貸([Airbnb] を通じたバケーションレンタルなど)
- 主に事業、商業活動、専門業務、または農業に使用される建物・敷地
- その他特別な取り決め
住宅賃貸法があなたの状況に適用されない場合、本ファクトシートの一部は当てはまらない可能性があります。不明な点がある場合は、お住まいの地域の [TAAS] にご相談ください。
NSW州民事行政裁判所 [NSW Civil and Administrative Tribunal – NCAT]とは何ですか?
NSW州民事行政審判所 [NSW Civil and Administrative Tribunal – NCAT] は、住宅賃貸に関して家主とテナントの間で生じた紛争を裁定する権限を有する、独立した法的機関です。[NCAT] は正式な裁判所ではありませんが、その決定には法的拘束力があります。[NCAT] は、ボンド(保証金)、退去、修繕、ペット、その他賃貸に関する事項について命令を出すことができます。[NCAT] で審理を行い決定を下す人はトリビューナル・メンバー [Tribunal Member] と呼ばれます。
[NCAT] は、平易な言葉と簡易な手続きを用いるよう努めています。テナントであるあなたは、通常、自分で手続きを行います。成功の可能性を高めるためには、証拠に基づいて自分の主張を明確に示すことが重要です。
通訳が必要な場合は、申立書にその旨を記載するか、聴聞通知(notice of hearing)を受け取った際に [NCAT] に伝えてください。[NCAT] は無料で通訳を手配します。通訳はあなたを代理したり助言したりする立場ではなく、発言内容を正確に訳すことがその職務です。
初めて [NCAT] に出廷する際には、家主または管理業者との合意を目指すよう促されます。これを調停 [conciliation] といい、調停者が支援する場合があります。
合意に至らなかった場合、[NCAT] は、あなたと家主が提出した証拠に基づき、法律を適用して紛争について判断を下します。写真、書面の陳述書、報告書、メールの写しなどの証拠を提供する必要があります。
[NCAT] から聴聞通知を受け取った場合は、家主から出席する必要はないと言われたとしても、必ず出席してください。出席しないと、あなたが不在のまま決定が下される可能性があります。
[NCAT] に出廷する必要がある場合は、お住まいの地域のテナントアドバイス&アドボカシーサービス [TAAS] から事前に助言を受けることをお勧めします。
賃貸の開始
賃貸住宅に申し込むときや入居する際には、あなたには権利と責任があります。家主または管理業者は、規則に従い、あなたに一定の情報を提供しなければなりません。賃貸を開始する前に内見することが重要です。
あなたは、住宅賃貸契約書 [residential tenancy agreement] の写しを受け取る必要があります。これは一般にリース [lease] と呼ばれます。リースは通常書面で作成されますが、口頭で成立する場合もあります。ほとんどの家主は標準様式のリースを使用します。リースは法的拘束力のある契約です。時間をかけて内容をよく読み、削除線が引かれている部分や追加条項がないか確認することが重要です。追加条項は、住宅賃貸法その他の法律に抵触しない限り、あなたと家主の双方が合意すれば盛り込むことができます。
通常、リースに署名した後、2週間分の前払い家賃とボンド [bond] の支払いを求められます。ボンドの額は最大で家賃4週間分までです。ボンドは保証金のようなものです。あなたが契約条件に違反したり、通常の経年劣化を超えて物件を損傷させたりした場合、家主はボンドの一部または全部を請求することができます。ボンドはNSWフェアトレーディング [NSW Fair Trading] が保管します。Rental Bonds Online を利用して直接登録することが推奨されます。
2週間分を超える前払い家賃を支払う義務はありません。
また、家主が記入した入居時状態報告書 [condition report] を受け取る必要があります。鍵を受け取ってから7日以内に、この報告書を詳細に確認し、必要事項を記入することが重要です。不潔な箇所、損傷している箇所、修理が必要な箇所をすべて記録してください。写真を撮影しておくことも推奨されます。契約終了時にボンドを巡る紛争が生じた場合、この報告書は重要な証拠となります。物件(屋外スペースを含む)は、安全で清潔かつ合理的な状態で引き渡されなければなりません。
賃貸を始めるにあたって助言が必要な場合は、お住まいの地域のテナントアドバイス&アドボカシーサービス [TAAS] にお問い合わせください。
賃貸中
家賃は期限までに支払う必要があります。支払期日には、家賃が2週間分前払いされている状態であることが求められますが、常に2週間分を前払いしておく必要はありません。家主は、手数料がかからず利用しやすい支払方法を提供しなければなりません。支払方法には、電子銀行振込および Centrepay が含まれている必要があります。対面または小切手で支払う場合は、家賃の領収書を受け取る必要があります。また、自分でも支払記録を保管しておくことをお勧めします。
家賃の支払いが遅れると、リースの違反 [breach] となります。これは強制退去 [eviction] につながる可能性がありますが、賃貸契約を維持するために取れる対応もあります。できるだけ早く助言を求めてください。
家賃の値上げには法的な規則があります。家主または管理業者は、12ヶ月間に1回を超えて家賃を値上げすることはできません。また、値上げを行う場合は、少なくとも60日前までに書面で通知する必要があります。家賃の値上げが無効または過度である場合は、NSW民事行政裁判所 [NCAT] に異議を申し立てることができます。[NCAT] への申立ては、通知を受け取ってから30日以内に行う必要があります。
水道、電気、ガス、固定電話などの公共料金 [utilities] の初期設置は、通常、家主の責任です。これらが個別メーターで計測されている場合は、通常、使用料金はテナントが支払います。
ペットを飼いたい場合は、認められた介助動物 [assistance animal] を除き、家主の同意が必要です。家主または管理業者は、正当な理由なくあなたの申請を拒否したり、不合理な条件を課したりすることはできません。現在は、ペットの飼育を申請するための明確な規則に基づく正式な手続きがあります。標準のペット申請書は、NSW政府のウェブサイトからダウンロードできます。
物件を合理的に清潔で適切な状態に維持する責任はテナントにあります。物件に変更や追加工事を行う場合、または鍵を交換する場合は、家主の書面による許可を得なければなりません。
物件に修繕 [repairs] が必要な場合は、家主または管理業者に書面で通知し、どのような対応を求めているのかを明記してください。家主または管理業者は、合理的な期間内に必要な修繕を行う義務があります。テナントには、合理的に修繕され、安全で安心できる状態の物件に住む権利があります。
あなたには、賃貸住宅において合理的な平穏、快適さ、プライバシー [peace, comfort and privacy] を享受する権利があります。家主または管理業者が訪問する場合は、事前に適切な通知を行わなければなりません。緊急修繕でない限り、修繕のための立入りには少なくとも2日前の書面通知が必要です。点検は、12ヶ月間に最大4回までに制限されており、毎回について少なくとも7日前の書面通知が必要です。また、あなたも、隣人の平穏、快適さ、プライバシーを妨げてはいけません。
サブレット(転貸)や契約名義の変更を希望する場合は、家主の書面による許可を求める必要があります。シェアハウスに住んでいて、全員が契約書に記載されていない場合、ヘッドテナント(主賃借人)とサブテナント(転借人)がいることがあります。ヘッドテナントとサブテナントの間でも、書面による契約を作成しておくことが望ましいです。
ボーダーやロッジャーには異なる法的規則が適用されます。登録されたボーディングハウス [boarding house] に住んでいる場合や、家主や住み込みの管理人・世話人が物件に対して強い管理権を持つシェアハウスに住んでいる場合、あなたはボーダーまたはロッジャーに該当する可能性があります。
家主または管理業者との間で紛争が生じた場合は、まず話し合いによる解決を試みることが望ましいです。合意に至らない場合は、[NCAT] への申立てやNSWフェアトレーディング [NSW Fair Trading] への苦情申立てについて、お住まいの地域の [TAAS] に相談してください。
賃貸終了時
退去を希望する場合、その規則はリースの種類や賃貸を終了する理由によって異なります。ほとんどの場合、家主または管理業者に書面による解約通知 [termination notice] を提出し、その通知に従って退去します。賃貸契約は、あなたが退去し、鍵を返却した時点で終了します。通知に記載した日付より前に退去することもできますが、家主との合意がない限り、通知期間の終了日まで家賃を支払う必要があります。
リースには次の2種類があります。
- 定期 [fixed term] – 例:12ヶ月など、一定期間が定められている契約
- 期間未定 [periodic] – 継続的な契約で、特定の期間が定められていないもの
定期契約は、あなたまたは家主が終了させない限り、満了後に自動的に期間未定契約(継続契約)へ移行します。
期間未定 [periodic] 契約の場合、21日前までなら、理由を示さずに解約通知を出すことができます。定期 [fixed-term] 契約の場合や、法的に定められた特定の理由に基づいて契約を終了する場合には、異なる規則が適用されます。法的に認められた理由なく定期契約期間中に退去する場合、違約金が発生します。定期 [fixed-term] 契約の期間中である場合は、行動を起こす前に、詳細な情報や助言を得てください。
退去時は、通常の経年劣化を除いて、賃貸開始時と同じ状態で物件を明け渡す必要があります。退去時には、写真を撮っておくことが望ましいです。
退去後は、ボンドを請求できます。ボンドはあなたのお金であり、家主に正当な請求理由がない限り、全額返還されるべきものです。正当な請求理由には、以下の合理的な費用が含まれます。
- 未払いの家賃またはその他の料金
- 修繕費 - あなた、居住者、または来訪者が通常の経年劣化 [fair wear and tear] を超えて物件を損傷した場合
- 清掃費 – 物件の一部が合理的に清潔な状態でない場合
- 鍵やその他の防犯装置の交換費用 - 家主の同意なく変更、撤去、または追加した場合
退去後は、すぐにボンドを請求できます。家主または管理業者の署名を待つ必要はありません。家主または管理業者があなたの請求に異議を唱える場合、[NCAT] に申立てを行う必要があります。逆に、家主または管理業者が先にボンドを請求し、あなたがそれに異議を唱える場合、あなたが [NCAT] に申立てを行うことができます。[NCAT] はその後、ボンドの分配方法を決定します。
家主または管理業者があなたに退去を求める場合は、賃貸契約を終了させる必要があります。有効な解約通知 [termination notice] を交付するか、[NCAT] に申立てを行わなければなりません。解約通知には、適切な通知期間、契約終了の正当な理由、およびその証拠が含まれていなければなりません。正当な理由には以下が含まれます。
- 契約違反(例:家賃滞納、違法目的での物件使用)
- 物件の売却
- 大規模な改修
- 家主またはその家族の入居
- その他の理由
解約通知だけでは賃貸契約は終了しません。あなたが退去し、鍵を返却した時点で契約は終了します。通知で指定された日までに退去しない場合、家主は [NCAT] に退去命令 [termination order] を申請できます。退去命令は賃貸契約を終了させ、退去すべき日を指定します。家主または管理業者があなたを強制退去 [evict] させることはできません。それができるのは [NCAT] だけです。指定された退去日までに退去しない場合、家主は占有回復令状 [warrant for possession] を [NCAT] から取得できます。この令状により、保安官 [Sheriff] があなたを強制的に物件から立ち退かせることができます。
家庭内暴力、物件の売却、火災や洪水などの災害、抵当権者による差し押さえといった状況には、賃貸契約の終了に関する特別な規則が適用されます。
賃貸契約の終了について助言が必要な場合は、お住まいの地域のテナントアドバイス&アドボカシーサービス [TAAS] にご連絡ください。
詳細情報
- NSW州テナント組合 [Tenants’ Union NSW] および [TAAS] による情報、ガイド、動画:tenants.org.au
- NSW政府による情報:nsw.gov.au/housing-and-construction/renting-a-place-to-live または電話 13 32 20
- 賃貸に関する無料の独立した助言については、お住まいの地域のテナントアドバイス&アドボカシーサービス [TAAS] にお問い合わせください:tenants.org.au/get-advice
通訳が必要な場合は、まず13 14 50にお電話ください。
免責事項
本ファクトシートは法律に関するガイドであり、法的助言に代わるものではありません。本資料は、オーストラリア・ニューサウスウェールズ州の法律が適用される居住者、またはその法律の影響を受ける人を対象としています。© Tenants’ Union of NSW
本ファクトシートは2026年2月に最終更新されました。


